報徳思想のお部屋

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二宮尊徳とは?
-“二宮金次郎”でおなじみの江戸時代後期の農村指導者-

二宮尊徳(1787~1856)は江戸時代後期の農村指導者です。相模国足柄上郡栢山村(現在の神奈川県小田原市栢山)に生まれ、自分自身の日常体験から、儒教、仏教、神道関係の書物を解釈し、「報徳仕法」といわれる一連の事業によって、荒廃した農村の復興を実践しました。
親に名付けられたのは「金治郎」ですが、小田原藩大久保家への仕官前後に誤って「金次郎」と記載されたことから、「二宮金次郎」として広く知られるようになりました。なお、「尊徳」は幕府に登用された後の諱で、届出では「そんとく」ではなく、「たかのり」と読みました。

 

 

報徳仕法とは?
-「至誠」「勤労」「分度」「推譲」による地域づくりの手法-

報徳仕法とは、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」を基本とした仕法(=決まったやり方)です。「分度」とは「自分の実力を知り、それに応じて生活の限度を決めること」、「推譲」とは「人を推しあげて自ら譲ること」をいいます。
具体的には、農民が無理なく上納できる年貢水準を割り出して「分度」とし、これを基準として領主は歳入歳出を組み立てて、その範囲内で自家を経営します。
また、開墾意欲のある者に対しては資金を無利息で貸し付ける一方で、農民が完済後、ゆとりがあれば、「徳に報いる」意味で「報徳冥加金」として上納します。これは「分度」を超える収入であることから「報徳金」として役所にプールし、以後の事業の資金とします。
報徳という言葉は、当時の小田原藩主大久保忠真から与えられた「徳をもって徳に報いる(以徳報徳)」に由来しています。

 

 

報徳仕法による日光神領復興の成果

尊徳翁は、幕府に命じられて、現在の日光市一帯にあたる日光神領の復興のために下野国(現在の栃木県)にやってきました。そして旧今市市に報徳役所という役所をつくって、農村復興の仕事を開始しました。
報徳仕法に基づいて、荒れ地の起こし返しや用水路の開削、植林の奨励といった取組が行われましたが、その結果、約326町歩の荒れ地の起こし返しや新田開発が行われました。そして後に二宮堀と呼ばれる用水路については33本が開削されたり、改修されたりしました。
この二宮堀については、現在でも利用されていますし、他の地域と比較して大区画の水田は、生産性を大いに高めました。この間尊徳翁たちは、廻村指導という村々を回った実地指導を5,700回も実施し、田んぼや用水路の作り方を教えたといいます。
日光神領の復興は、当初30年計画で開始され、尊徳翁の逝去後も、息子さんやお弟子さんの手によって継続されました。しかし江戸幕府の滅亡により16年で中止されてしまいました。もし計画が予定通り完了していたら、日光市一帯はもっと素晴らしい地域になっていたことでしょう。

 

 

福田あきおと報徳思想の関わり
-尊徳翁終焉の地日光は、福田あきおの故郷-

私の故郷は尊徳翁が生涯を閉じた日光市です。小学生のころ、校庭にあった「二宮金次郎」の石像を目にしましたし、郷土史の時間には、報徳仕法や二宮堀の話を聞いたりしたものです。
しかし尊徳翁を特に意識するようになったのは、今市市役所の職員になってからのことです。3年目に教育委員会に配属され社会教育課、学校教育課、中央公民館 に在籍したことから、郷土の歴史について学ぶ必要があり、市内の二宮神社、報徳文庫、報徳役所跡、二宮堀などに足を運びました。また、全国の尊徳翁ゆかりの地を訪れ、郷土史家の方からお話を伺ったりもしました。そして尊徳翁を知れば知るほど、苦難を乗り越え自己の思想を大地の上に実践した、その姿勢に大き く共鳴するようになったのです。

 

 

福田あきおが選ぶ報徳思想のキーワード5選

尊徳翁の遺した言葉の中から、特に現代社会にも通じると思われる5つの言葉を御紹介します。

○「道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である」

前段は「経済活動は道を外れてはいけない」という意味です。いつの間には経済優先、弱肉強食の格差大国になってしまった現在の日本には、耳の痛い言葉です。
しかし尊徳翁は後段で、机上の空論をいくら唱えたところで、ヒト、モノ、カネが動き出さない限り現実は前に進まないということも言っています。
静岡県掛川市に大日本報徳社というところがあります。そこには石の門が一対建っていますが、片方には経済門、もう一方には道徳門と書いてあります。経済門と道徳門は一緒に入らなければならないことから、経済活動と道徳は一致していなければならないということを例示しているのです。

○「私の道は、人々の荒蕪を開くのが本意である」

荒蕪とは荒れた心という意味です。尊徳翁は、荒れた心が耕されれば荒れ地は自然に耕されるといった考えを持っていました。
また尊徳翁は、「シンデンの開発」を強調していました。「シンデン」とは、「新田」ではなく「心田」です。このように尊徳翁は、心の教育が一番重要だということを江戸時代から指摘していたのです。

○「生まれて学ばざれば生まれざると同じ、学んで知らざれば学ばざると同じ、知って行わざれば知らざると同じ」

「生まれても学ばなければ生まれないのと同じ、学んでも知らなくては学ばないのと同じ、知っていても実行しなければ知らないのと同じ」ということです。
人はまず学び・知る必要がありますが、しかし学び・知っているだけではダメで、実行しなければ意味がないということを強調しています。実践主義者だった尊徳翁の面目躍如というべき言葉なのではないでしょうか。

○「凡人は小欲なり、聖人は大欲なり」

聖人は無欲だというのが世間一般の見方だと思いますが、尊徳翁は聖人こそが大欲だと言っています。つまり社会を良くしたい、国を良くしたいと、そういう大きな欲がある人が聖人であるというのです。

○「予を葬るに分をこゆること勿かれ。墓石を立つること勿かれ。ただ土を盛り上げて、その傍に松か杉を一本植えておけばそれで良い」

自分の墓は質素で良いのだということです。この遺言から察するに、偶像にはなりたくないという思いが感じられます。

○「とちぎ地方自治と住民」巻頭言 NEW!

『今改めて思う 21世紀を創る報徳思想』寄稿しました(2017年8月)

PDF ファイル 今改めて思う21世紀を創る報徳思想

 

国会での福田あきおの取組

小沢一郎政治塾で講演しました(2006年7月15日)

小沢一郎民主党代表が主宰する小沢一郎政治塾で、「尊徳思想に学ぶ日本再生仕法」というテーマで講演しました。
冒頭、参加者の皆さんに二宮尊徳について知っているか訊ねたところ、知っていると答えた人はごくわずかでした。しかし、1時間余りの講演を熱心に聴いてくださり、また、質疑応答では心の教育や自立した人間を育成する国会・企業のあり方などについて鋭い質問をいただきました。
久しぶりに充実した講演ができ、大変うれしく思いました。しかし尊徳翁について余すことなく語るには、1時間では短いと感じました。

「報徳思想に学ぶ新しい日本の国づくり地域づくり《共存共栄国家の創造》」を提言しました(2010年2月11日)

報徳思想に学ぶ新しい日本の国づくり地域づくりのあり方について政策提案させていただきました。構想中の内容ですので、今後、皆様から御意見を頂戴しながら、より具体的で効果的な内容にしていきたいと考えています。
報徳思想に学ぶ新しい日本の国づくり地域づくり《共存共栄国家の創造》提案
~今なぜ“報徳思想”か~「報徳思想に学び日本の新しい国家ビジョンを創る」

日光市倫理法人会モーニングセミナーで講演しました(2010年5月12日)

日光市の企業関係者で組織されている日光市倫理法人会の第400回目のセミナーで、「報徳思想に学ぶわが国の新しい国づくり地域づくり」というテーマで講演させていただきました。
2月に発表した提言に沿ってお話しさせていただきました。朝早くにも関わらず熱心に聴講いただき感謝しております。

 

 

二宮尊徳思想研究会
-議員連盟の会長として、政策提言も積極的に行う-

二宮尊徳思想研究会とは?

私は二宮尊徳思想に学び、日本の良さを生かしながら、我が国を「人々の幸せと世界平和に貢献できる国」として再生させることを目的とした国会議員の研究会を設立することを呼びかけるとともに、研究会の初代会長に就任しました。

二宮尊徳思想研究会発足(2006年6月14日)

「報徳思想を生かした国づくり地域づくり」という、私が長年抱いていた構想が具体化の一歩を踏み出しました。
このほど、報徳思想を学ぶことを目的とした国会議員の研究会、「二宮尊徳思想研究会」が設立されました。
設立総会には、渡部恒三国会対策委員長、菅直人代表代行、前原誠司前代表、江田五月参議院議員会長といった民主党幹部をはじめとする22名の御出席がありました。また、栃木県選出の山岡賢次衆議院議員、谷博之参議院議員にも駆けつけていただきました。
渡部国対委員長からは「民主党に二宮尊徳に学ぶ研究会ができるということは、いよいよ政権政党になってきた証拠。」と激励の言葉を頂戴しました。また、前原前代表からも、「福田、鈴木両先輩が一人ひとりの議員に働きかけていく熱意に感銘を受けた。」との御挨拶をいただきました。
総会では、福田あきおから設立趣旨を提起し、同僚の鈴木克昌衆議院議員が規約と役員構成について提案し、いずれも了承されました。福田あきおは、研究会の初代会長に就任しました。
後半は、国際二宮尊徳思想学会理事長の草山昭さんから、「現代に生かす報徳思想」というテーマで御講演いただきました。全国各地に二宮尊徳や報徳思想を学ぶ組織やグループは多数ありますが、国会議員をメンバーとする研究会の発足は今回が初めてです。29名の衆議院議員、13名の参議院議員に御入会いただき ました。今後は勉強会の開催や尊徳翁ゆかりの地を視察するなどの取組を進めていきたいと考えております。

二宮尊徳思想研究会が開催されました(2008年6月11日)

「二宮尊徳と経済人~豊田佐吉と松下幸之助」をテーマに、作家の三戸岡道夫先生から御講演いただきました。道徳を重んじた企業経営は、今後の企業活動に欠かせないことを改めて痛感させられました。

鳩山民主党代表に対して政策提言を行いました(2009年6月3日)

二宮尊徳思想研究会では、報徳精神と、鳩山民主党代表の掲げる友愛精神を融合した考え方を民主党の基本方針に取り上げてほしいと考え、鳩山代表に対する提言書を提出しました。
今後は「友愛報徳」社会の創造で、国民一人ひとりの幸せの実現と世界平和に貢献できる新しい日本をつくるためにも、活動していきたいと考えています。
鳩山代表に提出した提言書は下記のとおりです。
友愛社会と報徳社会の概要
二宮尊徳思想研究会の提言(案)

二宮尊徳思想研究会が開催されました(2009年7月9日)

アメリカを拠点に世界的に活躍しているデフタ・パートナーズ会長の原丈人さんから御講演いただきました。原さんからは、英米のマネー資本主義とは一線を画した公益を実現するための会社をバングラデシュに設立されています。今後は同様の会社をアフリカにも立ち上げたいという構想をお聞かせいただきました。原さんは現代の二宮尊徳ともいうべき方だと感じ入りました。

 

 

国際二宮尊徳思想学会(INSA)での活動
-顧問として国際的にも活躍-

国際二宮尊徳思想学会(INSA)とは?

国際二宮尊徳思想学会は、二宮尊徳思想に関する学術研究、関連団体との交流及び会員相互の親睦を図るために設立されています。
学会の本部は、神奈川県小田原市の(財)報徳福運社報徳博物館にあり、初代会長は北京大学日本文化研究所長を務める劉金才北京大学教授です。私は、河野洋平前衆議院議長、榛村純一大日本報徳社社長(前静岡県掛川市長)、山折哲雄前国際日本文化研究センター所長などとともに、顧問を務めさせていただいており ます。

国際二宮尊徳思想学会第3回学術大会に参加してきました(2006年8月5日~8日)

国際二宮尊徳思想学会第3回学術大会(国際シンポジウム)に参加するため、中国遼寧省大連市に出張してきました。
今回のテーマは「報徳思想と経済倫理」でした。私は学会の顧問として、開会の御挨拶をさせていただきました。また尊徳翁終焉の地である地元今市からの出席者の方々とも交流ができ、とても有意義な機会となりました。

○国際二宮尊徳思想学会京都大会が開催されます

国際二宮尊徳思想学会京都大会が、2010年8月24日~26日、京都産業大学において開催されます。中国からは北京大学、大連民族学院大学、上海華東理工大学、清華大学、社会科学院の教授の皆様が多数参加される予定です。